議会議事録

平成27年3月四万十町議会定例会 町長所信表明・行政報告


平成27年3月四万十町議会定例会

町長所信表明・行政報告
                                    

 本日、議員の皆様のご出席をいただき、平成27年3月町議会定例会が開催されますこと厚くお礼を申し上げます。
 開会にあたりまして、平成27年度に向けた所信表明と12月議会定例会以降の主要な行政運営等に関しまして、以下何点かご報告申し上げます。
はじめに、平成27年度当初予算案の基本的な考え方でございますが、本町の予算編成の目安となります国の予算案におきましては、地方創生関連が盛り込まれた一般会計の総額が96兆3,000億円と過去最大を更新し、経済対策を盛り込んだ平成26年度補正予算と合わせて「経済再生と財政再建の両立を実現する予算」として編成されております。また、地方団体の歳入歳出総額の見込みを示す「地方財政計画」におきましても、人口減対策や地域経済の活性化を進めるため、新たに「まち・ひと・しごと創生事業費」として1兆円が盛り込まれるなど地方財政の充実が図られており、このような動きに積極的に対応した県の当初予算案につきましても、前年度比で7年連続の増額となっております。
本町におきましても、これらの動きに積極的に対応することにより、急激に進む人口減少に歯止めをかける一方、合併から10年の節目を迎えるにあたり、地方交付税の段階的な縮減の動向を見据えながら事務事業のより一層の効率化に努めるなど、中・長期的な視点に立った予算編成と持続可能な財政運営に取り組んでいかなければなりません。
このような情勢のもと、私にとりまして実質初年度の当初予算編成となる平成27年度予算は、対策がピークを迎えました防災関連事業をはじめ、これまで地域の皆様と協議を重ねてきた継続事業の推進、さらに私の公約の実現に向け、平成26年度補正予算と一体的に編成を行ったところでございます。
特に、昨年末には「まち・ひと・しごと創生法」が制定をされ、私の公約である福祉政策の充実、人づくり、地域産業の育成等については、国の地方創生の取り組みと連動して推進することが可能となったため、これらの公約の一部を、地方創生先行型交付金でこの3月補正予算に位置づけを行いましたが、とりわけこの町の将来を担う若者の町づくりに対する活動を推進するため、人的ネットワークの構築を図るとともに、各分野において人材育成に努めることに重点を置きました。
このほか、若者定住対策をはじめ産業振興、雇用対策、高齢者に対する支援等、早急に取り組まなければならない課題が山積しておりますが、町民の皆様の関心の高い低廉な高齢者支援住宅整備につきましては、その仕組みづくり等の基本計画について3月補正予算に盛り込み、十分な検討を行った後、モデル住宅の整備を9月補正予算に計上する予定としております。
以上、施策の一端を申し上げましたが、町民の皆様だれもが四万十町に生まれてよかった、今後も住み続けたいと思えるまちづくりに向けて職員と共に取り組んでまいりますので、町民、議会の皆様のご支援をよろしくお願いいたします。

■ 四万十町当初予算案の概要について                  
先に述べさせていただいたとおり、編成の基本的な考えのもと、防災対策や公約の実現に向け平成26年度補正予算と一体的に編成した結果、平成27年度の一般会計当初予算額は149億2,800万円となり、前年度の実質的な当初予算規模となる6月補正後の肉付け予算と比較して13億3,170万円・9.8%の増加となりました。
また、本年1月9日に閣議決定されました平成26年度国補正予算第1号におきまして「地方への好循環拡大に向けた緊急経済対策」を盛り込んだ総額3兆円余りの補正予算が編成され、2月3日に可決・成立したことから、本町といたしましても、今回の経済対策をより効果的に活用するため、平成27年度当初に計上を予定しておりました一部の事業につきまして平成26年度に前倒しするなど、国補正予算関連で計13事業・総額1億7,500万円余りを3月補正予算に計上いたしました。この結果、平成26年度補正予算への前倒しを含む平成27年度の実質的な当初予算総額は151億319万2千円となり、前年度の肉付け後と比較して15億689万2千円・11.1%の増加となっております。
なお、歳入面におきましては、町税で若干の減収が見込まれるものの、昨年4月に実施されました消費税率の引上げに伴う効果が通年で表れることなどにより、地方消費税交付金が大幅に増加する見込みとなっており、これらの歳入に地方交付税などを加えた一般財源総額は、概ね例年並みを確保出来る見通しとなっております。
一方、歳出の主な事業につきましては、この後の提案理由におきまして詳しくご説明申し上げますが、本年度が対策のピークとなる防災関連をはじめ、国や県の取り組みにも積極的に対応した結果、普通建設事業費で7億8,465万8千円・38.8%の増加となっております。
なお、平成27年度末における一般会計の積立基金残高は70億417万4千円、町債残高は207億9,116万6千円を見込んでおり、町債残高につきましては平成25年度末をピークに今後も高水準で推移する見込みとなっておりますが、有利な町債の借入れと基金の積み増しなどにより、財政の健全化は維持できる見通しでありまして、引き続き「収支の均衡」「債務残高の圧縮」「将来への備え」の3つの基本姿勢のもと、効果的で効率的な財政運営に努めてまいりたいと考えております。
また、一般会計のほか10の特別会計と水道事業会計を合わせました全12会計の予算規模でございますが、会計間の重複分を差し引きますと前年度当初比で17億9,026万9千円・8.9%増の218億3,247万円となっております。
以上が、平成27年度当初予算案の概要となりますが、公約の実現と活力あふれる“四万十郷”の創生に向け、職員一丸となって取り組んでまいりますので、ご審議・ご決定を賜りますようお願いを申し上げまして、当初予算案の概要についてのご報告とさせていただきます。

■ 四万十町まち・ひと・しごと創生総合戦略の策定について        
 国においては、急速な少子高齢化の進展に的確に対応し、特に地方の人口の減少に歯止めをかけるとともに、東京圏への人口の過度の集中を是正し、それぞれの地域で住みよい環境を確保して、将来にわたって活力ある日本社会を維持するとして、「まち・ひと・しごと創生法」が制定され、昨年末には、国における「長期ビジョン」及び「総合戦略」が閣議決定されたところであります。
 本町においても、国の取り組みと連動し、四万十町における「人口ビジョン」「総合戦略」について、早期策定を目指し取り組みを加速する所存であります。
 本年1月20日に、総合戦略を策定するため庁内組織のプロジェクトチームを設置しており、今後プロジェクトチームを中心に骨子案の策定を行い、議会との意見交換も行なうとともに、今後設置を予定している「四万十町まち・ひと・しごと創生総合戦略推進本部」及び「有識者会議」に諮りながら、本町の人口の現状と将来の展望を定めた「四万十町人口ビジョン」及び5か年の目標や施策の基本的方向、具体的な施策をまとめた「四万十町まち・ひと・しごと創生総合戦略」を9月末を目途に策定を行いたいと考えております。
 なお、この「四万十町まち・ひと・しごと創生総合戦略」には、本町の多くの課題の根本となっている少子高齢化による人口の減少の克服に向けた取り組みを中心に、本町の5年、10年後を見据えた計画となるよう、住民・産業界・大学・金融機関等多くの方々の意見も取り入れながら策定することとしておりますが、私といたしましては、「定住できる町」を基本目標に取り組んでまいる所存であります。

■ 人材育成と高知大学との連携協定について               
 本町は「山・川・海 自然が人が元気です」をキャッチフレーズとし、自主・自律の町民活動の助長と協働の地域運営の促進、町民一人ひとりがお互いを尊重し支え合う地域の仕組みづくりなど、自立と共生のまちづくりを目指してこれまで取り組んできました。
平成27年度は、国の地方創生に対する支援も本格化し、本町においても5年、10年後を見据えたまちづくりを進めていかなければなりません。
このような状況を踏まえ、本町は今月末、高知大学との間に、人材育成や産業振興をはじめ、大学の地域学習や研究、本町の計画や施策に関する連携協定を結ぶことと致しました。
高知大学は来年度より地域協働学部を開設し、少子高齢化や産業の脆弱化、中山間地域の課題等を地域協働によって解決する担い手を育成するとともに、地域力を学生の学びと成長に活かし、学生力を地域の再生と発展に活かす教育を進めようとしており、双方にとってこの連携は非常に有意義なものとなると確信しております。
 私は、今後のまちづくりを進めていくうえで、本町を支える人材の育成が不可欠であると考えており、この連携を契機とし、高知大学のバックアップも受けながら、人材育成の中心となる組織の設置や人材育成に向けた方針、施策の立案を行い、将来を見据え、地域や各分野のリーダーとなる人材や将来を担う子供たちの育成に向け取り組んでまいります。

■ まちづくり戦略室の設置について                   
 本町では、総合振興計画に基づき、少子高齢化対策・産業振興・雇用対策・地域づくり・人づくり・移住定住の促進等、多くの課題解決に向け、個別計画策定や各種施策を行ってきたところであります。
私は、このような本町の重要施策を総括し、政策形成並びに施策実行の柱となる部署の設置が必要であると考えたところでありまして、平成27年度より、町の基本計画の策定、各課等のまちづくりに関する個別計画や各種施策を総合的に管轄し、各課等における計画策定や施策の企画・立案に参画、進捗管理を行うなど、町として一体的なまちづくり施策の推進を担うとともに、本町の人材育成戦略の策定等、各種の人材育成に関する施策の総括的な役割を担う「まちづくり戦略室」を企画課内に設置したいと考えております。
 この部署を設置することにより、これまで各課単位で取り組まれていた各種施策の横軸の連携を確立し、地方創生総合戦略と連動した一体的なまちづくりを推進してまいりたいと考えております。

■ 次世代施設園芸団地の整備及び木質バイオマス施設整備ついて      
次世代施設園芸団地の整備、及び木質バイオマス施設の整備について、ご報告いたします。
まず次世代施設園芸団地の整備でありますが、県は、国の「次世代施設園芸導入加速化支援事業」により、オランダ型の先端技術と強固な販売力を融合させ、生産から調整・出荷を一気通貫して行うとともに、地域資源を活用したエネルギーを活用する次世代施設園芸団地の整備を進めております。
事業の概要といたしましては、東又の県有地に高軒高の園芸用ハウスを3棟、合計で4.3ヘクタールを整備することとなっており、このハウスでトマト栽培を行う計画で、参入する3社はすべてが県内企業であり、うち1社が町内企業であります。
総事業費は約32億円であり、負担割合としては、高度環境制御栽培施設など基本的な施設整備については、国が2分の1、県が6分の1の補助等となっており、本町としても、施設園芸における先進的な技術導入の推進、また同事業による雇用創出を支援すべく、平成27年度の当初予算に町内の参入企業に対する5,000万円の補助金を計上しております。
また、本町では、平成22年度にバイオマス構想を立て、この構想に基づく協議会等で、本町におけるバイオマスに関する取組等の検討・協議を行ってきたところであり、この次世代施設園芸団地では、化石燃料依存からの脱却を目指し、地域資源のエネルギーを活用することになっており、この燃料を供給していくために、四万十町森林組合が事業代表者となり、町内外の未利用木材等を用いる木質バイオマス施設の導入に向け、町と連携して整備を進めています。
バイオマス施設は、燃料供給先の次世代施設園芸団地と距離が近い、神野々地区の町有地約1ヘクタールに整備することとしており、3年間で6億円を目途とする補助事業「木質バイオマスエネルギーを活用したモデル地域づくり推進事業」により、実証事業として取り組むことにしております。
この事業における町の支援策としては、土地造成費や製造プラント等の整備費に対する補助金1億4,500万円を、当初予算に計上しているところであります。
現在、平成28年夏からの作付を目指して次世代施設園芸団地が整備されており、稼働の際にはバイオマス施設からのスムーズな燃料供給が行えるよう準備を進めてまいります。
本事業につきましては、県の産業振興計画に位置付けられていること、そして本町の農業振興および林業振興に大きな期待が持てるプロジェクト事業と位置づけており、高知県とも連携を密にしながら事業の推進に取り組んでまいる所存であります。

■ 国民健康保険税の税率改定ついて                   
 国民健康保険事業特別会計につきましては、平成21年度に介護納付金課税分の一部税率改定を行ったものの、合併時に設定した税率と7億円近い財政調整基金をもとに、これまで運営を行ってきたところであります。
しかし、国民健康保険制度の構造的な問題による慢性的な財源不足のため、基金残高は、年々減少し、平成26年度末の予算ベースで残り約5,000万円となっているため、このままでは平成27年度国民健康保険事業特別会計の予算が編成できない状況となることが判明いたしました。
このため、国保税の税率改定は止むを得ないという判断をしたところでございますが、このことは被保険者の皆様に負担を求めるものであるため、慎重に検討すべく、意見公募手続き条例に基づく意見公募も行ったところでございます。
事業運営に必要な国保税の税率につきましては約20パーセントの改正が必要であると試算されましたが、この引き上げ改定に伴う被保険者負担は大変重く、急激な負担増になる世帯もあることから、私といたしましては、これまで議会からいただきましたご意見なども斟酌し、また、大変に厳しい経済情勢など総合的な検討を行い、これまで行ってきた4,000万円の一般会計からの基準外繰入に、さらに4,550万円を増額し8,550万円を繰り入れすることとし、併せて国保被保険者の皆様にも世帯平均年額11.7パーセントの負担増をお願いする条例改正案を本定例会に議案上程させていただいているところであります。
 被保険者の皆様のご理解とご協力を賜り、国民健康保健事業特別会計の健全な運営を図ってまいりたいと考えております。

■ 小中学校適正配置計画の状況ついて                  
平成20年9月に策定いたしました四万十町立小中学校適正配置計画におきましては、計画を進めるにあたっての配慮事項として、保護者、地域住民等に対する説明会を開催し、理解と協力を求め、本計画に提示している以外の適正規模・適正配置案が保護者等から提示された場合は、柔軟に検討し対応すると定めております。この基本姿勢のもと、保護者や校区住民との協議を重ねた結果、小学校では、統合計画校8校のうち6校の統合が決定し、それぞれの学校間で交流学習や閉校式に向けての取り組みを進めたうえで統合を実施いたしました。このような経過を経て、統合後は子ども達も馴染んだ様子で学校生活を送っております。
中学校では、統合計画校3校のうち、昭和中学校で推測以上の生徒数減少が見られ、子ども達にとって望ましい教育環境を早急に確保する必要が生じたことから、平成25年3月から昭和小中学校及び十川小中学校保護者との説明会・意見交換会等を再開し、平成27年4月から十川中学校と統合することについて保護者の同意と地域の理解をいただき、現在、交流学習の実施と3月28日の閉校式に向けての取り組みを進めております。
 その他の学校につきましては、計画の趣旨であります「よりよい教育環境の実現」に向け、「保護者、地域住民の理解と協力を得ながら進めていく」という基本姿勢のもと、児童生徒数の推移や教職員の配置等の状況を見ながら、今後とも協議を進めていきたいと考えております。
 平成27年度の行政運営に望み予算編成を中心に所信表明、そして、行政報告をさせていただきました。
 平成26年度も間もなく終わりを迎えようとしておりますが、町民の皆様や議員各位のご理解・ご協力により当初予定をしておりました事業もおおむね順調に執行できておりますことに感謝を申し上げます。
 平成27年度に向けては、夢と希望をもって子々孫々に継承できる活力あふれる四万十町を創造するため、全力で行政運営にあたる所存であります。
 議員の皆様並びに町民の皆様の一層のご理解、ご協力をお願い申し上げます。



○添付ファイル1 

18369 (PDFファイル 325KB)


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